戦没者特別弔慰金と相続

戦没者弔慰金

 終戦から72年。先の大戦を記憶する日本人が減っていく中で、戦没者遺族にとっての戦後はまだ続いている。そう思わせる出来事があった。沖縄戦で米軍の砲弾に倒れた祖父の特別弔慰金が、相続財産として残っていたのだ。

 弔慰金の対象者は父で、5年前に他界している。ところが弔慰金を受け取っている途中で父が亡くなったため、父が本来受け取れるはずだった残りの弔慰金が相続財産の対象となった。つまり妻である母や息子である私やきょうだいに相続権があるということだ。

 これには少し説明がいる。亡父が受け取っていた弔慰金は無利子の記名国債40万円で、それを10回に分けて年に1度4万円ずつ支払いを受けられるというものだった。父が亡くなった時点でこの国債が相続財産となったので、相続人である我々は残り数回の弔慰金を受け取れることとなった。

 本来、戦没者の死亡後に生まれた孫などは支給対象にならないが、国債というかたちで残っていたため、民法上の相続財産として認められるということだった。念のため都道府県ごとにある援護担当課に問い合わせてみたが、弔慰金支給のための国債は相続できるということだった。
 
 相続の話をきっかけに、戦後70年以上を経てなお戦没者遺族は故人の尊い命に思いをはせ、国は遺族に弔意を示している事実を改めて実感する。何より多くの犠牲の上に、戦没者の子や孫の世代が戦後の繁栄を享受したということを忘れてはならないと改めて感じる。