「争族」を避けるために

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 先日、独身で都内の実家暮らしの知人と雑談をしていて、将来相続でもめなければよいがと、他人ごとながら心配になったことがある。東京23区内の戸建てに母、兄弟の3人が暮らす一家。所有権は母にあり将来相続が発生した場合、兄弟二人に相続権が発生する。話し合いで兄弟のどちらか一方に住宅の所有権が移れば、問題はない。ところが互いに家の所有権を主張し話がまとまらない場合、家を売り払う事態になりかねない。

 実際、不動産コンサルティング会社や税理士など相続の専門家と話をしていると、兄弟姉妹が実家の所有権をめぐって争いに発展する例は少なくないと聞く。あるケースでは、親の介護をしながら実家に住んでいた弟に対し、親の死後に離れて暮らす兄が実家の所有権を主張。やむなく実家を売却して現金を兄弟で分けることとなった。こういった例はよくある。

 そうならないためにはいくつかの対策が考えられるが、親に現預金がない場合は対策が難しい。マネー雑誌等では生前対策として、実家を相続できない方の相続人に保険金を残すといった対策も紹介されるが、年老いた年金生活者が数千万円もの保険金が下りる終身保険に加入するのは簡単なことではない。

 先の知人の兄弟によると、相続が家族の話題に上ったことなどなく、何も対策を講じていないと聞いた。遺言書の作成や節税、保険などによる生前対策を考える前に、将来必ず発生する相続について、盆暮れや法事の歳などにさりげなく話題にすることが相続対策の第一歩になるのではないかと思われる。

 メディアでは連日、老後や相続に関する特集が組まれている割には、どこか他人ごとだとおもっている人は多いはず。当サイトを運営するにあたり、いざとなってから慌てるのではなく、前もって相続に関する備えをしてもらいたいという思いを強くしている。